その他

【日本沈没】それはドラマより50年前の時代背景の物語

『日本沈没』(著:小松左京)を読了。 つい先日までテレビで放送されていたドラマ『日本沈没』。結構ハマってて毎週観ているんですよねぇ、なんて世間話をしたら原作本を頂いちゃったので、2022年の読書は『日本沈没』からスタートすることにしました。 上巻を…

【かもめの日】私の24時間と並行して存在する誰かの24時間

【かもめの日】(著:黒川創)を読了。 感想を綴ってみようと思うものの、全然言葉が浮かんでこない。…というのも、読んでいる最中から、物語が伝えようとしていることが掴めるような掴めないような、私の読解力ではそんなふわふわとした理解しか及ばなかったか…

『隠し事』恋人の携帯を見たくなる時

【隠し事】(著:羽田圭介)を読了。 同棲する彼女の携帯にメールが届く。ディスプレイに表示された名前には見覚えがあった。なんで彼女はアイツと連絡を取っているんだ?まさか…そんな疑いから彼女の携帯を覗く日々が始まる。 携帯を覗き始めると、どれもこれ…

【三島由紀夫レター教室】文豪が伝授する手紙のお作法

【三島由紀夫レター教室】(著:三島由紀夫)を読了。 老若男女5名の手紙のやり取りを覗き見するスタイル。時間が経過するにつれて、関係性が変わったり、可愛さ余って憎さ百倍になったり、疎遠になったり、そんな人間模様を彼ら彼女らの手紙からウォッチします…

【キッチン・ブルー】人生に欠かせない”食”にコンプレックスがあったら。

【キッチン・ブルー】(著:遠藤彩見)を読了。 『食』をテーマにした6つの短編集。”食べること”というのは人生で欠かせないことであるからか、個人的にとても面白く読んだ。 人前で食事が出来ない灯(あかり)。視線を感じると途端に食べ物が喉につかえてしまう…

【ひとりぐらし】読書による疑似体験で経験値を少しためる

【ひとりぐらし】(著:藤堂志津子)を読了。 私の理想の家族構成は同率一位に独身と夫婦だけ、次いで養子を引き取って子供のいる家族、である。 産めない体でもないし(検査はしていないけれど)、顔も頭も世の中を生きていくのに困るようなレベルではないと思っ…

【私にふさわしいホテル】嫌な人間にならないための反面教師テキスト

【私にふさわしいホテル】(著:柚木麻子)を読了。 夢だった小説家に。文学新人賞を受賞した加代子は、憧れだった小説家のスタートラインに立った……はずだった。しかし注目は同時受賞の元アイドルに全て奪われ、小説家としての仕事が全くこない。そんな主人公…

【銀河鉄道の夜】には宮沢賢治の理想がそこかしこに現る

: 【銀河鉄道の夜】(著:宮沢賢治)を読了。 ちょっとくらい誰もが名前を知っている名作を読んでおきたくて手に取る。【銀河鉄道の夜】と言うと児童文学のイメージを強く持っていたのだけど、これを小中学生が読むのはちょっと難しくないか?…というか大人の私…

【グッド・コマーシャル】何かと批判も多い彼ですが。

【グッド・コマーシャル】(著:西野亮廣)を読了。 「西野亮廣ってキングコングの西野じゃん」と気が付いたのは読み始めてから。よくよく見てみると『幻冬舎よしもと文庫』という聞いたことがないレーベルから出版されている。タレントが書くエッセイは好き好…

【水やりはいつも深夜だけど】パートナーは自分で選べる唯一の家族

【水やりはいつも深夜だけど】(著:窪美澄)を読了。 母としての立ち回りに悩んだり、父親・夫として家族の中で上手く居場所が作れなかったり、子どもの成長に悩んだり、父の再婚で新しくできた家族に悩む女子高生、母と父母の不仲に挟まれる男子高校生…など…

【十二人の手紙】ネタバレ感想のため、未読厳禁

【十二人の手紙】(著:井上ひさし)を読了。 この作品は手紙だけでストーリーが進んでいく書簡体小説というもので、他人様の手紙を覗き見しているような背徳感が味わえる。ひと様の手紙を読めるだけでも楽しいというのに、これがきちんとミステリーを成してい…

【ブエノスアイレス午前零時】の感想と言うより、ほぼ純文学について

【ブエノスアイレス午前零時】(著:藤沢周)を読了。 『ブエノスアイレス午前零時』は第119回芥川賞(純文学の新人に与えられる賞)を受賞している作品なのだけど、私に芥川は未だ早かった気がする。 東京からUターンしてきて、閉塞感、物足りなさ、やるせな…

【22年目の告白】あのニュースを思い出し、そして本の真価を考える

『22年目の告白‐私が殺人犯です‐』(著:浜口倫太郎)を読了。 『私が殺人犯です』というのは、小説内で出版された連続殺人事件の犯行を告白した手記につけられたタイトルだ。 殺人犯が手記を出すというのは、元少年A(酒鬼薔薇聖斗)の『絶歌』のオマージュだと…

【白河夜船】眠りにつくとき、少しでも穏やかでありますように

【白河夜船】(著:吉本ばなな)を読了。 正直言うと、いまいち理解が及ばなかった。色んな人の感想を漁ったら「親しい人を弔ったら理解ができるようになった」とあったので、私にはこの本を理解するには欠かせない経験が足りていないのかもしれない。 実は【…

【おくりびと】致死率100%の人生の答え合わせ

【おくりびと】(著:百瀬しのぶ)を読了。 数年前にテレビCMを観たことがあるので映画化していることは知っているけれど、観たことはなし。 音楽家としての人生に夢破れ、生活のために辿り着いた仕事は”納棺師” 納棺師とは遺体を綺麗にしたり、顔にメイクを施…

【死にゆく妻との旅路】???

経営していた工場の倒産、増えてゆく借金、妻のガンの再発。 これら全てから逃げようと始めた夫婦の逃避行。 これが手記、つまりノンフィクションであると言うのだから驚きである。 何だろう、美談にして良いのかな。 経営している会社が立ち行かなくなるこ…

【想像ラジオ】が教える我々に託された役割

【想像ラジオ】は東日本大震災を題材にしている。 次にやってくる3月11日で、あの日から丸10年の時が経過するけれども、東日本大震災を背景に描かれた小説を手に取るには初めてかもしれない。 【想像ラジオ】は肉体は死んでしまったけれど、魂がまだ昇天でき…

【あずかりやさん】誰のために、何のために預けますか?

預かり賃は一日百円、先払いです。誰が預けにきたか、何を預けたか、誰にも一切公言いたしません。何でもお預かりします。 期限よりはやく受け取りに来てもお金はお返しできません。期限を過ぎても取りにいらっしゃらない場合は、おあずかりの品はわたしのも…

【神様の裏の顔】色んな意味で「え?」って読後感

【神様の裏の顔】を読み終えてから少し調べてみてビックリ。著者は何と元・お笑い芸人という経歴の持ち主だった。 そう言われてみると、登場人物たちの認識が噛み合っていないのに妙に会話が噛み合って違和感なく進んでしまうシーンなんかは確かにコントにあ…

【ぼくとネモ号と彼女たち】どうも初めまして、角田光代さん。

どうやら私、角田光代さんの小説を読むのは初めてみたい。(エッセイはある) 作品を読んだことがないのに、何故か読んだ気がしている作家NO.1が彼女である。『八日目の蝉』や『紙の月』などアイドルのプロモーションに利用されていない原作ファーストっぽい…

【しゃぼん】女の子は心意気、美人も心意気、ぜーんぶ心意気

吉川トリコの『しゃぼん』を読了。 読む前にネットでちゃちゃっと調べたら『R‐18文学賞』で大賞を受賞している作品と出てきてちょっとギョッとしたが、私が想像するR-18ではなかったので良かった。 私は青年誌~成人誌の間っぽいものを予想していたのだけど…

【風の歌を聴け】に見る村上春樹の大型新人っぷり

実を言うと【村上春樹】作品は初めまして、だ。 タイトルを耳にしたことがある作品はいくつもあるけれど、村上春樹の映像作品にも小説にも今まで触れることがなかった。 そんな私が村上春樹の小説を手に取ろうと思ったきっけかけは【あやうく一生懸命生きる…

【まずいスープ】は小説界の加瀬亮だ。

『まずいスープ』を読了。作者は”戌井昭人”初めて手に取る作家だ。 文庫本の後ろにあるあらすじ 父が消えた。アメ横で買った魚で作ったまずいスープを残し、サウナに行くと言ったきり忽然と。 が何だか大きな事件が起きそうな作品だ、と思って読んで見たもの…

【サイン会はいかが?】本屋という桃源郷

本屋の静かで落ち着いた、だけど大人でも子供でもオシャレ着でもラフな格好でも、誰でも受け入れてくれる、あの空間が好きだ。 実は大学生の頃、本屋さんでアルバイトをしたいと思っていた。 残念ながらその憧れは叶わなかったけれど、【サイン会はいかが?…

【敗者の告白】もう1人の敗者とその告白

深木章子の『敗者の告白』を読んだ。 書式が独特で、書簡式小説と対話体小説の2つから成っている。 私は対話体小説は恩田陸の『Q&A』で、書簡式小説は森見登美彦の『恋文の技術』で読んだことがある。 『敗者の告白』を読み終えた時、ふーっと深いため息…

『最後のトリック』が教えてくれたこと:意図せず殺人は起こり得る

このページに辿り着いたあなたは、文庫本(ソフトカバー)派だろうか、それともハードカバー派だろうか。私は文庫本派。あらすじと数ページばばばと読んでみて購入を決めるからである。そう、文庫本には後ろに『あらすじ』が載ってあるのだ。 これほどにワクワ…

Imagine!(想像してごらん!)『私たちが星座を盗んだ理由』

「私たちが星座を盗んだ理由」北山猛邦 を読み終えました。 5編の短編集でそのうちの1つの話がタイトルと同じ、つまり表題作なんですけど、個人的にはコレが1番ハマりませんでした。タイトルに惹かれて手に取ったんだけどなあ。 『恋煩い』『妖精の学校』…

裏切り者が潜んでいる?『伊藤博文邸の怪事件』【感想】

「伊藤博文邸の怪事件」を読んだので感想を残しておきます。 歴史小説として読むと当時の生活が覗けて面白いのかもしれないけど、推理小説として読むとちょっとご都合主義感は否めませんでした。 タイトルに「伊藤博文」ってあるから「あ!知ってる偉人!」…

『廃墟に乞う』もしかしたら事件の加害者は被害者でもあるのかもしれない【感想】

『廃墟に乞う』佐々木譲 読了です。 警察モノなので様々な事件が描かれているんですけど、なんだろう…どれもこうふわっと悲しい感じでした。 警察モノって結構派手な事件をメインにした作品が多いですが、これってやっぱりフィクションじゃないですか。 リア…

誰か私にこの魅力を教えて?「向日葵の咲かない夏」道尾秀介【感想】

『向日葵の咲かない夏』道尾秀介 読みました。 「小説 おすすめ」で検索するといくつかのブログで紹介されていたので実際に手に取ってみました。 「人を選ぶ本ですよ」「気持ち悪い本だよ」 と紹介されていることが多かったのですが、読んで納得!本当に気持…