誰か私にこの魅力を教えて?「向日葵の咲かない夏」道尾秀介【感想】

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『向日葵の咲かない夏』道尾秀介 読みました。

 

「小説 おすすめ」で検索するといくつかのブログで紹介されていたので実際に手に取ってみました。

 

「人を選ぶ本ですよ」「気持ち悪い本だよ」

と紹介されていることが多かったのですが、読んで納得!本当に気持ち悪い本でした(笑)

 

なんでいろんなところでオススメされてるんやろ?私には伝わらない魅力が秘められてるんかな。

あらすじ

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。

きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝動もつかの間、彼の死体は消えてしまう。

一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。

 

 『向日葵の咲かない夏』感想(ネタバレ有り)

登場人物たちがみんな不気味な小説でした。

「人を選ぶ」ってまさにその通りで、世界観も気持ち悪ければ、登場人物たちも気持ち悪い。何この小説…。

 

でも、小説の入りは最高でした。

「え…!なんで…?」と先が読みたくて仕方がなくなります。

 

死体ごと消えてしまったS君。一週間後、彼はあるものに姿を変えて僕ミチオと妹ミカの前に現れます。

「S君は殺されたんだよね?」

「自殺なんてするものか。僕は殺されたんだ。」

「誰に……」

「先生にだよ。僕は岩村先生に殺されたんだ」

 

というS君の告白から、S君の死体探しが始まるのです。

 

めっちゃワクワクしません?

どうして岩村先生がS君を殺す必要があったのか?死体はどこに、何故持ち去ったのか?

 

3人の推理もすごく読みごたえがあったし、何と言っても岩村先生を尾行するシーンはハラハラさせられました。

 

「死体をまだ岩村先生は持っているんじゃないか?」と推理をして、岩村先生を尾行し家に侵入するんです。

バレたらS君のように殺されちゃうんじゃないか…!とすごい緊張したシーンでした。

 

とりあえず主要人物がみんな気持ち悪い

S君ね、事件を解決して欲しくてミチオを頼っているくせにたびたび嘘をつくんです。

事件の核心に迫ったと思ったら、S君の嘘が発覚してふりだしに戻る、の繰り返しで…。「S君は何がしたいんだ?」と思わずにはいられなかったです。

 

終盤はミチオの言動もなんかおかしくて、「実は一連の犯行は僕の仕業でーす」って言い出すんじゃないか?ってめっちゃ不安になりました。

 

なんだかみんな精神的に病んでるんじゃないかって感じちゃった。

 

S君はどうして嘘をついてまでミチオを事件に関わらせたかったんだろう?

先生とのことを秘密にしたかったら先生をまず「犯人だ!」なんて言わないよね。

このミステリーは私には解けず。だってS君気持ち悪いんだもん、共感できない~~

 

それから実は事件に無関係だった岩村先生ですが、尾行の時にとんでもない性癖が発覚するんです。こんなぶっ飛んだ設定があるんだから、むしろこの人には少しぐらい事件に関わっていて欲しかったのは私だけですか?

 

とりあえずS君が潰される『ぷち』って音が頭の中でリフレインされてめっちゃ不快なので、違う作品を読んで早く気持ちをリフレッシュしたい~~

 

作品を一貫してずっと不協和音。ゾワゾワとも違うし、何なんだろうこの気持ち。

作風は全く違うけどヤンデレの作品を見ている時に感じる不快感や不安感・緊張感に私は近かったかもしれない。クセになる人はハマっちゃう小説なんだろうなあ