【つるかめ助産院】(小説)の感想

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【つるかめ助産院】(著:小川糸)を読了。

 

昔、この小説がドラマになっていたことを覚えている。ビッグラーブ!って言って結婚していった2人の俳優が出演していて、曲はポルノグラフィティでしたね。確か。

 

ドラマは当時、楽しく観ていた記憶があるのだけど、この何年かで私がすさんでしまったのか、小説の書き方がそう思わせるのか、原作はすごく気持ち悪かった。

 

出産は神秘的です!妊娠は神聖です!命の誕生は~~…ってあまりにもしつこくて、最後の方は「あ~…はいはい」って感じ。宗教みたいだった。

 

旦那に失踪され、南の島にやってきたマリアは、そこで自身が身ごもっていることに気が付く。島の助産院で手伝いをしながら、そこで出産することを決意する。そんなマリアには捨て子だった過去があって…。

 

主人公が自分は一人じゃないんだ、愛されていたんだ、って気が付いて子を産むという内容。

 

主人公よりも、彼女の脇を固める人たちの方が面白い物語になりそうだなあと思って読んでいた。

初産が死産だったため想像妊娠するようになってしまった女性とか、助産院で働いているのに妊娠したいと思えない過去を思っている外国籍の女性とか。

 

面白いところを探そうとするのだけど、内容が思い出せないくらい本当に合わない作品だった。綺麗な物語だけど浅いのかも。

校長先生の「友達はたくさん作りましょう」「冬休みも規則正しい生活を」って言葉みたいな、正しいんだけど、何にも揺さぶられない話を聞いている感じ。

 

しいて言うなら、記憶の中の実写化が素敵だったので、ドラマは良いかも、くらい。結末もドラマの方がちゃんとしていた気がする。思い出補正の可能性もあるけれど。

 

私はおそらく反出生主義の気があるようなので、それも本書が気持ち悪く感じた理由の1つとしてあるのだと思うのだけど、普通の人が読んでもちょっとスピリチュアル感が強めだとは思う。その分、妊娠・出産を最大限に肯定して欲しい人にとってはめちゃくちゃ気分良く読める本なんじゃなかろうか。

 

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