【日本沈没】それはドラマより50年前の時代背景の物語

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日本沈没』(著:小松左京)を読了。

つい先日までテレビで放送されていたドラマ『日本沈没』。結構ハマってて毎週観ているんですよねぇ、なんて世間話をしたら原作本を頂いちゃったので、2022年の読書は『日本沈没』からスタートすることにしました。

 

上巻を半分くらい読み進めて「あれ、まだ小栗旬は出てこないのか?」なんて思っていたんですが、実は小説は1973年に刊行されていて、ドラマはテーマを頂戴して現代版にアレンジしたものだったんですね。

 

『彼は元軍人で…』なんて描写があったりして、そこで「あぁ、時代が違うんだなあ」と実感するのですが、大きな災害で物資が足りなくなったり、民衆がパニックになったり、ちょっと乱暴になったり。コロナや豪雨、大震災の我々も似たような状況に陥っていたので、「日本が沈みます」と言われたら、取り巻く環境はこうなってしまうんだろうなあと思いながら読んでいました。

 

ドラマ同様、日本国民を外国に受け入れてもらおうと奮闘するのですが、50年前は日本が軍事国というイメージを捨てきれない国もあって、今よりもずっと困難を極めただろうと想像します。

 

仮に沈みゆく母国から飛び出せても、待ち構えているのはあまり明るい生活ではないような気がします。

私の中の日本ってルールは守るし、海外の人に対して外国語で対応しようとする心を持っているし、治安は良いし、日本人同士でアレコレする時にはナニクソー!って思うこともあるけれど、やっぱり素晴らしい国民性を持っている国だと思うんですよ。

 

だけど、そんな日本だって、移民や外国人労働者に対して、国民と同様の生活は保障していませんよね。コロナで技能実習生が来られなくなった時に、かなりぼかして書かれていましたが直訳すると「安い労働力がないばっかりに損をする」という農家さんの投稿も見たことがあります。

 

そういう現実がこれから訪れる(かもしれない)と思うと、着の身着のまま海外に行くのが正解なのか、母国と共に沈むのだってアリなんじゃないか、そんな風に考えてしまいます。

 

その消滅は、この惑星上の陸地に対して、わずか0.3パーセントたらずの喪失にすぎなかった。しかし「人間の土地」としてのこの地域の滅亡を考えるとき、その影響は、世界全体にとって、かなり大きく、複雑なものだった。その土地に、世界総人口の二・八パーセントが住み、年間一人当たり支出三千ドルを越える世界最高水準の生活を営み、その土地で毎年世界総生産の七パーセント近くが生産され、世界総貿易量の一四パーセント以上が、この島と世界との間にとりあつかわれていたのである。(下巻P.326)

 

この文章を読んで誇らしくなると共に、小説から50年後の今、日本は将来先進国から没落するのではないかという意見もあって、切なくなった自分がいます。

 

日本沈没』を読んで、本当に月並みなことなんですが、災害時のストックをちゃんと用意しておこうと思いました。コロナの時もアレコレ買えなくなりましたもんね。災害時にはお金を積んでも供給が追い付かず買えないものが沢山ある。

日本は30年以内に大きな地震がくるだろうと言われているので、せめて最低限の備えは今のうちから。

 

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