小川洋子

【夜明けの縁をさ迷う人々】(著:小川洋子)

【夜明けの縁をさ迷う人々】(著:小川洋子)を読了。 小川洋子の書いた作品の感想を綴る時、いつも困る。リアリティーのある作品なら現実に照らし合わせて、ファンタジーな作品ならばその非現実さを楽しんで、感想を吐き出せばよいのだけど、小川洋子の作品は…

【妊娠カレンダー】(著:小川洋子)

【妊娠カレンダー】(著:小川洋子)を読了。 小川洋子作品は何作が読んでいるが、ドロッとした雰囲気だけ伝わってきて難解なものが多い。今作もそのひとつだった。 それもそのはず。裏表紙のあらすじに『芥川賞受賞作』とある。芥川賞とはつまり純文学に贈られ…

【原稿零枚日記】に小川洋子をみつけて。

【原稿零枚日記】(著:小川洋子)を読了。 作家をやっている”私”は執筆がはかどらず、何かのヒントになればと日記を付け始める。 創作のために日常を綴っているはずだったが、その日記の内容は次第に実際に経験したことと創作との境目が曖昧になってきて…。 と…

【密やかな結晶】無いなら無いなりに

【密やかな結晶】(著:小川洋子)を読了。 少しずつモノが消失していく世界の物語。モノが消滅するとそれにまつわるニオイや音、記憶なんかも失われていく。 例えば虫取り網が無くなったら、セミの響くような鳴き声や、うだるような夏の暑さと夏のニオイ、捕ま…

【凍りついた香り】私とあなたを繋げたものは香りだけ。

【凍りついた香り】(著:小川洋子)を読了。 小川洋子作品はまだそれほど読めていないのだけど、『どこかミステリーっぽいのに、物語の本質はそこではない(明確な答えはない)』作風は恩田陸に似ているなあと思った。 私の読む恩田陸はゾワリと狂気を感じる…

【偶然の祝福】リアルと創作の境界線に立たされて

【偶然の祝福】(著:小川洋子)を読了。 小説なのだけれど文章の響きがエッセイっぽい作品だった。 小説でも日常を取り上げた作品は数えきれないほどある。私が読んできた本の中にも大きな事件も起こらず、ファンタジーな世界でもない、純文学に置くしかない…

【人質の朗読会】私の存在証明は観客のアナタです。

『人質の朗読会』小川洋子 著 の感想を綴る。 とある村で起きたゲリラの襲撃の人質となった八人の旅行者。残念ながら誰ひとり、生きて帰国することは叶わなかった。 その2年後、彼らの肉声が収められたテープの存在が明らかになる。テープには八人が自ら書…