【かわいい結婚】(著:山内マリコ)を読了。
【かわいい結婚】というタイトルながら、読み終わると「結婚ってファンシーじゃない」と可愛いの真逆の感想を抱く作品。
結婚に憧れた時に、甘い生活ばかりをイメージしてしまうのは何故なんだろうか。
『結婚は生活』(恋愛は娯楽?) という言葉は昔から言われていること。「ご飯にする?お風呂にする?それとも…」なんて甘い生活を半世紀以上も続けることが難しいことなんてちょっと想像すれば分かることなのに。
明石家さんま…だったかな?「結婚して幸せの最高潮にいます!」って新婚の芸能人に「そりゃ人生どん底の時に結婚するやつはおらんからなあ」って言っていたの。文字にするとちょっと意地悪な感じがするけれど、実際は全然そんなんじゃなくて、「あぁ、確かにそうだなあ」と妙に納得したことを覚えている。
「病める時も、健やかなる時も~~」なんて誓いの言葉があるけれど、誓い合っているその時は健やかで喜びのときなわけで、病めるときや悲しみのときや貧しいときでも誓い合えましたか?って言われると、ね。
結婚というゴールにたどり着いたと思ったら、この生活が一生続くことに気が付いてモヤッとする女性が出てきたり。この辺はちょっとリアルなんじゃないかと思う。結婚していないから想像でしかないけれど。
結婚していないからか、表題作の【かわいい結婚】よりも【お嬢さんたち気を付けて】という作品の方が好きだった。
ユリは大親友のあや子からの”妊娠報告”におめでとうと思えなかった。それは嫉妬からではなく、これまで彼女から話を聞いていて彼女の旦那がどこか不誠実に感じていたから。
そこでユリは背伸びをして購入したブランドバッグを査定に出し、その金額を「このお金を使うことなくあや子の人生が終わりますように」「お幸せに」と祈りを込めてあや子の口座に振り込むことにした。
「佳彦さんに知られていない銀行の口座ってあんの?ちゃんと自分のお金、貯めておきなさいね。いざってとき、先立つものがないと惨めよ」
「後生だから自由にできるお金だけはちゃんと持っていてね。両親からもらったお金でもいいし。いざって時に使えるお金。いざってときにお金がなくて身動き取れないのが、いちばん惨めなんだから」
「離婚なんてダメだけど、でも離婚したいときにできるだけのものは、ちゃんと持っておかなきゃ」(P205 一部改変)
昔「結婚する時に親から100万円を貰って、それを旦那に話したと言ったら親に怒られた。でも今なら分かる。あれは何かあった時に動けるためのお金だったんだ」といった内容のブログを読んだことがあって、それを思い出さずにはいられなかった。
ブログを読んだ当時も「まあそういういざって時のお金は必要だよね」とは思っていたけれど、結婚・出産をする同世代が出てくる年齢になってそういう情報(結婚・出産・離婚)が耳に入ってくるようになったからか、「絶対に!持っておくべき!」とあの頃ののほほんとした感じはどこへやら、今では唾が飛び出す勢いで同意する。
現在『3組に1組は離婚している』と言われていて、これに対して「同じ人が何回も離婚しているからだよ!」「3分の2は離婚していないってことだよ!」なんて意見を聞くけれども、私は『離婚したいけれど出来ない離婚予備軍を入れたらどうなるんだろう』って思っていたりする。悩みの方向が変わっただけで可もなく不可もない人、結婚しなければ良かったと思っている人、そして離婚した人…幸せになれる結婚をした人なんて3分の1くらい?
今まで生きてきて私にはその3分の1の幸運を掴む運の良さは無いだろうと思うから、いざって時のお金は作っておかなくちゃ、と改めて思う。使う機会がなければ「幸せな結婚生活で良かった」で良いんだし。
価格:649円 |