【感想】米花町(名探偵コナン)で売れば大ヒット間違いなしの推理小説『キングを探せ』

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『キングを探せ』法月綸太郎を読みました。

 

『交換殺人』を取り扱った作品って珍しくないですか?

私、結構ミステリー小説が好きで読んでいるんですけどこのパターンは初めてでした。

 

犯人を追う警察側も当然のことながら、犯人グループにもブレインが居て読みごたえがある作品でした。

 

『キングを探せ』あらすじ

繁華街のカラオケボックスに集う四人の男。めいめいに殺意を抱えた彼らの、今日は団結式だった。目的は一つ、動機から手繰られないようにターゲットを取り換えること。トランプのカードが、誰が誰を殺(や)るか定めていく。

四重交換殺人を企む犯人たちと、法月警視&綸太郎コンビの、熾烈な頭脳戦をご堪能あれ!

 

【感想】『キングを探せ』ネタバレ有り

四人の男がカラオケボックスに集い、烏龍茶とコーラで乾杯するところから物語は始まります。

ゴミ拾いのボランティアで出会った彼らに接点はなかった。共通しているのは、めいめいが誰かに殺意を抱いていて、自分が疑われることなくターゲットを殺したいということ。

 

そこで持ち上がったのが『交換殺人』でした。

交換殺人を行うことによって、殺人犯とターゲット間には動機が存在しないわけなので(何なら接点もない)、犯行がバレにくい・容疑者として名が上がりにくいってことらしいです。

実際に殺意を持っている人は容疑者に名が上がりやすいので、その時間はアリバイを作っておく。

 

うん。コナンとか金田一とかの犯人もこういうの利用すればいいのにって思いました。特に米花町(コナンの町)犯罪都市やし、募ればいっぱい協力者が出てきそう(笑)

 

コナンの犯人サイドを描いた『犯人の犯沢さん 』という漫画を読んだことがあるのですが、名探偵たちに目の前で犯行の全てを語られて「ア”ア”ア”-ッ!(恥ずかしい、もうヤメテ!)」ってなってるので本当この本を教えてあげたい。

 

◆漫画をチェックする⇒『犯人の犯沢さん

★そこら中に散りばめられているヒントたち

物語のスタートが四人の男たちなので、てっきり殺人犯視点で物語を読むのかと思っていたら、コロッと法月親子の視点に変わります。主役はこっちだったんですね。

 

くじの結果一番に殺人を起こすことになったのは渡辺清志です。これはね、わかりやすい伏線が張られてます。『高そうなコピー機とかね。

殺人に成功した渡辺清志は犯行現場で偽札を掴まされてしまうんです(本人は本物だと思っている)。

そして後日、偽札を使ったときに「え、なんで偽札…!?」ってパニックになって飛び出したらトラックに轢かれて死んでしまうというビックリ展開が待っています。

 

もうね、ここまでがスピーディーというか、あっけなさすぎてちょっと先行き不安になりました。

他の三人もあっけなく死んじゃう結末じゃないよね…?って。

 

★偽札と渡辺清志の接点に疑問を持つ警察サイド

警察は、渡辺清志がどこで偽札を手に入れたか疑問に思うんです。すると交換殺人の第一被害者にたどり着くんですがこの2人には接点がない。

そこで『交換殺人』に綸太郎たちはたどり着くんですが、母数(関わっている人数)が分かってないと難しいんですね。捜査は難航します。

 

正直「高そうなコピー機」と「大金」の組み合わせとか偽札に決まってるやん!なんでこんなにわかりやすい伏線にするんだ!って思っていたんですが、これがないと『交換殺人』に気付く入口がないし仕方がなかったのかなあ、と読み終わって渋々納得です。

 

警察が『交換殺人』に気付いているかもしれないと勘付いてからの犯人サイドの機転が見事で。やっぱこういう作品は犯人サイドにブレインが居ないとダメだなと思いました。

 

警察が犯人をおびき寄せるためにダミーの手紙を用意するんですが、それを読んだ時の犯人サイドの反応が伏線になっていたり…

1巡目ではたぶんたくさん見逃しているけど伏線が多く張りめぐらされていて、実はかなり緻密な作品なんじゃないかな。

これは2巡目に伏線回収の多さにビックリするパターンやな…。

 

ただでさえ犯人と被害者が結び付きにくいのに、仲間割れをしたり・誰かがしくじったり、そういう予期せぬハプニングが事件解明をより難しくしていて、『交換殺人』を使った推理小説はすごく読みごたえがありました。脳が疲れたよ~(笑)

 

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