何気ない一文が推理を難解にする「ナイト&シャドウ」【感想】

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「ナイト&シャドウ」柳広司 著 読みました。

 

「SP」のお話で、仕事・研修内容に「へぇ~…!」となると同時に、映像でない読み物だからこそ楽しめる仕様になっていたのが個人的に好き。

 

本当の「善」とは何か?「悪」とは何か?

とちょっと深い内容もあり、どんどんと読み進める1冊でした。

不平等こそが人を殺人鬼にする

あらすじ

世界最強の警護官集団「シークレットサービス」での研修のとめ渡米したSP首藤(しゅとう)は初日、フォトジャーナリストの美和子と出会う。

 

国際テロ組織が大統領暗殺を予告し緊張が走るなか、美和子が誘拐される。首藤は相棒バーンと共に警護を完遂し、彼女を助け出すことができるのか。

 

「ナイト&シャドウ」ではテロリズムや銃規制など、社会問題がテーマになっています。

 

もちろんテロリズムは「悪」だけれど、登場人物のケインは本当の悪者なんだろうか?と問われるところ。

 

「ナイト&シャドウ」感想【ネタバレがっつり】

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本作では銃を使ったテロを計画する「ケイン」という男性が出てきます。

これだけ読むと「何て悪いやつなんだ!」って思っちゃいますよね。

 

ですが、実は彼は今まで「銃規制すべきだ」と声を大にして活動してきた人間なのです。

 

ケインは妻を銃を用いた無差別なテロに巻き込まれて亡くしています。

銃規制の活動を熱心にし、やっと結果に繋がりそうになったところで新大統領が就任してしまったのです。

 

なので、何年も何年もやってきた活動も振り出しに戻ってしまいます。

 

これだけではなく、もう1つの現実が彼の中の憎悪を大きくします。(私はこっちがメインじゃないかと思っている)

 

一般人の生活に対する銃規制は進まないのに、大統領の行く先々では銃(に限らず危険物)の持ち込みが禁止されているんです。

 

ケインは大統領銃撃テロを起こして「銃なんてものは持つべきじゃないんだ…」って伝えたいんです。

 

【銃規制の活動⇒結果が出そう⇒新大統領⇒活動が振り出し⇒偉い人の周りだけ銃規制】

ケビンの計画したことはダメなことだけれど、一体どうすれば正解だったんでしょうか。

 

とても考えさせられる内容でした。

 

本来の「ナイト&シャドウ」の読み方

「ナイト&シャドウ」の本当の読み方は、このテロリストが誰なのか?を推理していくものです。

 

なので、作中にたっぷり散りばめられている伏線回収も楽しめるはず…!!

 

あと映像ではなく文字だから騙されちゃうのも、最高に気持ちいい!(Mじゃないよ)

 

「美和子の姉」と言われると日本人を想像してしまうけど本当かな?

「犯人は白人の男だったよ」って言われるとカタカナの名前をイメージしちゃうけど、どうかな?

 

自分の中の思い込みでちょっとした文章を読み違えてしまって、知らず知らずの間に真実とイメージにズレが生じるのってすごく面白い!

 

そういえば作中に「警護対象に銃口が向けられたときは避けてはならない(つまり避けて守るのではなく、盾になって銃を受けろ)という教えが出てくるのですが、これと同じようなフレーズを樋口明雄の狼は瞑らないでも見たことがあります。

 

もしかしたら、SPや警察を描いた作品ではマストなことなのかもしれませんね。

 

首藤の堅物で寡黙なキャラクターも作品にバッチリだったし、少し頼りない上司バーンと徐々にバディ(相棒)として様になっていく様子は、こういうジャンルならではで個人的に好きでした。

 

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▼本作主人公・首藤がちょびっと出演しています▼

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