クイーンはキングになることは出来ない「キング&クイーン」柳広司

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「キング&クイーン」柳広司 の感想です。

 

なんだろう…途中までは結構好きだったんだけど、なんだか盛り上がりに欠ける終わりだったな~

 

アンディのモデルは「ボビーフィッシャー」で入江康憲のモデルはホリエモンかな。

真のクイーンは誰だ?

あらすじ

「巨大な敵に狙われている。」

元警視庁SPの冬木安奈は、チェスの世界王者アンディ・ウォーカーの護衛依頼を受けた。

謎めいた任務に就いた安奈を次々と奇妙な「事故」が襲う。アンディを狙うのは一体誰なのか。

盤上さながらのスリリングな攻防戦(ゲーム)ーそして真の敵が姿を現した瞬間、見えていたはずのものが全て裏返る

 

バーに勤めている安奈は「用心棒」としてお店に雇われた(本人は不本意)。

タチの悪い酔っ払いを追い払ったり・・・。

そんな安奈にとある護衛の依頼が来て事件はスタートする。

「キング&クイーン」感想【ネタバレ有り】

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安奈に舞い込んできた依頼とはもちろん「アンディ・ウォーカーの護衛」

だけど日本では資格がない者は身辺警護をすることが法律で禁止されているため、安奈は断る。

 

が、アンディを狙う男たちが拳銃を持っているのを目撃して護らざる得なくなってしまって…

 

勝手に依頼を持ってくる飲み屋のお姉さんと、それを黙認してるバーの店長がキャッキャッ♥してるのにめっちゃイライラしたのは私だけではないはず(笑)

 

天才ゆえに奇行なアンディ・ウォーカー

安奈はアンディを護るために奔走するんだけど、肝心のアンディが勝手気ままなんです。

 

「わたしが戻ってくるまでは、誰が来ても絶対にドアを開けないで」

 

って言われているのに、安奈が戻ってきたら知らないオジサンがいたり(実はチェス教会の偉い人)、勝手に居なくなっていたり

 

「たいていの人は、知っている相手に殺される」(P170)

 

これが殺人事件の真理なんだよな~って刑事モノを読むといつも思います。

 

物語はアンディの幼少期の描写と共に、いかにアンディが天才で変人であるかを読者に植え付けながら進んでいく。

2人のアンディ、そして事件解決へ

最終章、何故アンディが狙われたのか、犯人は誰なのかがついに明らかになります。

そこで登場するもう1人のアンディ(♀)。

 

犯行の動機として彼女の幼少期の描写があるんですが、ここでハッとした人も多いはず。

 

  • その時アンディが指した手は〈ブルックリン・サクリファイスと名付けられ…(P232)
  • 最後に自ら編み出した起死回生の戦略、"ブルックリン・サクリファイス"を仕掛けた。(P340)

 

つまり幼少期の描写は狙われている方のアンディ(♂)ではなく、犯人の方のアンディ(♀)だったワケですね。

 

何だろう…作品としてもうひと盛り上がり欲しかったな~とは感じちゃうなあ。

事件解決はあっけなかったんで割愛します。

 

ただ、ブルックリン・サクリファイスの手口(捨て駒を意味あるように錯覚させる)と、仲間を捨て駒にしたところが、「あ~彼女の一貫した戦い方なんだな」と彼女の隠しきれないプライド?生き様?みたいなものは感じました。

 

こういう「実は違う人物の話で…」系の作品が得意なのは本多孝好

SP作品を求めるなら本作の作者の別作品「ナイト&シャドウ」の方が読み応えがあります。この作品は本作でちょびっと登場した首藤が主人公だったりします。

 

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