老若男女5名の手紙のやり取りを覗き見するスタイル。時間が経過するにつれて、関係性が変わったり、可愛さ余って憎さ百倍になったり、疎遠になったり、そんな人間模様を彼ら彼女らの手紙からウォッチします。
手紙をコッソリ覗いた上に、とやかく言うことはよしておきましょう。
しかしまあ「尊敬していますよ」なんて綴ってあっても、前後の内容で、それが嘘っぱちだと顔を合わさずとも、文字だけで伝わってしまうものなのですね。
終章には三島由紀夫によるレター講座があります。
三島由紀夫による手紙の書き方は2点。
三島由紀夫本人も三島由”起”夫と間違えられたファンレターを貰うことが多いらしく、この間違いだけで、文中に述べられたおびただしい敬意を、ニセモノと判断させるには十分だ、とのこと。確かに。
手紙は色んな使われ方をします。お礼状、お願い、謝罪。これらの場合は本屋さんに売られている【手紙の書き方】なる本は、大変参考になるでしょう。
しかしまあ、昨今絶滅危惧種に認定されてもおかしくないペンフレンドとの手紙の場合、何の感情も見えない定型文のような手紙は無味無臭でつまらない。かと言って、相手はいつもあなたのことを考えているわけではないので、感情を爆発させた手紙を貰ってもキョトンとしてしまいます。
”あなたに”元気を出してほしくて、笑って欲しくて、なぐさめて欲しくて…。”ダレソレに”と相手を認識するだけで、「ねぇねぇ聞いて!」という一方的な手紙を書く可能性はグッと低くなりそうですね。
実はこの2つ目の手法は『「自分の言葉」で人を動かす』という文章の本で読んだことがあります。実践できているかどうかは…ノーコメントで。
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昔から大人がニッコリする文章が分かる子供で。そうやって過ごしていると、オリジナルの感想文とか日記が書けなくなっちゃうんですよ。先生はこの文章、ムッとするかな、とか。悪い子って思われちゃうかな、とか。大人受けは良いけれど、それって七夕の短冊に「みんなが笑顔で過ごせますように」って書くくらいつまらない文章なんですよね。
で、この読書感想ブログくらいは正直に感情を出したいなって思っていて、小説の大筋と関係のない文章を引用して「この文章好き!」「私のことだ!」だなんて好き勝手綴っているんですけど。方向性は変えないにしても、前後をきちんと書いて、もっと読みやすくする努力はしないとダメだなあと思いました。
手紙とブログでは違うところも多々あるけれど、読者がいるという点は同じなので、三島由紀夫の教えを胸に、今後も読書記録に励みます。
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