【白河夜船】眠りにつくとき、少しでも穏やかでありますように

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【白河夜船】(著:吉本ばなな)を読了。

 

正直言うと、いまいち理解が及ばなかった。色んな人の感想を漁ったら「親しい人を弔ったら理解ができるようになった」とあったので、私にはこの本を理解するには欠かせない経験が足りていないのかもしれない。

 

実は【白河夜船】が刊行されたのは1992年で、いまから30年近くも前のことである。それを知ったときビックリした。

彼女がしていたのはただ客と「添い寝」をする仕事だ。

「私の所へやってくる人は、ものすごくデリケートな形で傷ついて、疲れ果てている人ばかりなの。自分が疲れちゃっていることすらわからないくらいにね。それで、必ずと言っていいほど、夜中に目を覚ますのよ。そういう時に、淡い明りの中で私がにっこり微笑んであげることが大切なの。」(P22~24 一部改変)

 

これって所謂ソフレ(添い寝フレンド)の金銭のやり取りがあるバージョンだと思うのだけど、30年も前から”1人で眠るのが怖くて寄り添う存在を求めている人がいる”って視点を持っているなんてすごいなと思った。

 

数年前にTVで「マジで寝るだけの友達なんですよー」と若者がケラケラ答えているのを観て、ソフレという関係性に不健全というか距離感がバグッている印象を私は持っていた。

 

だけど、眠るときにすーっと深いところへ落ちていくのが好きな人もいれば、それがとてつもなく怖い人もいて、暗い闇に落ちていくような夜(眠り)に誰かがそばにいて欲しいって人は一定数いるのだろうなと本書を読んで思った。

 

私は”起きるのが怖い”と思ったことはあるけれど、”眠るのが怖い”とは思ったことがない。むしろ全ての感情がシャットダウンできる時間だから好きだ。嫌な感情が消えなければもう寝てしまおうと思う。こういう感覚の違いでこの作品の理解が進まないのかなと推測した。

 

【白河夜船】を読んで【世界がもし100人の村だったら】がこんな文章で始まったのを思い出していた。

「今朝、目が覚めたとき あなたは今日という日にわくわくしましたか?

今夜、眠るとき あなたは今日という日にとっくりと満足できそうですか?」

※とっくりと=十分に

 

世界がもし100人の村だったら】を読むと信仰を強制されることもなく、教育も医療も十分に受けられて、日本は何て恵まれているんだと改めて思う。

 

何かさ、みんな理想が高くない?評価が厳しくない?いつもと変わらない日常に点数を付けるとしたら何点をつける?

 

私は50点じゃなくて、70点ぐらいつけても良いんじゃないかと思う。平凡な日というのは何事もなく”無事に終わった”1日なのだから。

 

今日は50点だったと思って眠るのと、70点だったと思って眠るのでは、不安の大きさが全然違うから、夜が怖い人はやってみて欲しい。

 

ちなみに私の今日は72点でした。では、おやすみなさい。

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