『人生ってうまくいかないなあ…』と嘆いた夜は数知れず。
だけど、ふと考える。私にとって100点満点の人生ってどんな人生だろう?明確なゴールを立てたこともないのに「足りない、足りない」と思ってしまうのはSNSが広がった情報社会の弊害だろうか。
この【足りない】は『満足できない』ということではなくて、世間と比べると足りていない、憧れられるレベルには足りていない、という意味合いが強いかもしれない。
世の中には平均収入だとか、平均身長だとか、偏差値だとか、顔面偏差値だとか、人生の指標となる数値がたくさんある。
けれども最近はそんな数値よりも、心の方が大事だなと思う。笑って過ごせるならお金持ちだろうが貧乏だろうが、美女だろうがブ女だろうが、何でも良いような気がする。心が満たされることに勝るものはない、と私は思う。
相田みつをも「しあわせはいつも自分のこころがきめる」って言葉を遺しているし、世間体じゃ心は満たされないなと感じる今日この頃。
★★★★
並河志津子はアラフォーの子なしシングル。
ネットでは『負け犬』と呼ばれる立場であるし、本人も「家族がいるって良いわね」なんて思ってたりもする。でも何だかんだ人生、楽しそう。
志津子を取り巻く人たちの中に彼女のことを『負け犬』だと思っている人はいないだろうし、私もまったく思わなかった。むしろチャーミングで人好きのする女性だと思った。
彼女自身は「なんにもうまくいかないわ」なんて言うけれど、彼女のように飾らないありのままの自分で生きられる人間に憧れる人は多いはず。
読み終えて思ったのだけれど、『理想100点満点の人生』なんてきっと誰にもおくれないのではないだろうか。
私は独身で、同級生の中には結婚して子供を持つ人も出てきた。
独身であることが孤独だなと切なく思うこともあれば、面倒くさい時にはご飯を食べなくても良いし、ストレス発散じゃー!って飲み歩いたり、そんな生活が気楽だなと思うこともある。
長所と短所は表裏一体で、誰もが「こうだったら良いのに」って気持ちと「こうで良かった」という気持ちをグルグル行ったり来たりしながら生きている。
『世間から見た幸せ』を手に入れたって”ないものねだり”をしてしまうことはきっとあるのだ。隣の芝は青い。その時の気分は最悪。
100点の人生を夢見てしまうことこそが、不幸の入り口なのかもしれない。
生きていく上で後悔も溜め息も避けることが不可能ならば、せめて世間体じゃなくて自分の意志で人生を選択したい。自分が楽しくいれる人生を。
ふと思ったのだけど、『楽しい』って優越感も嫉妬心もプライドも必要ないから良い。
アニメが楽しい。読書が楽しい。料理が楽しい。寝る前のストレッチが楽しい。あぁ、断捨離も好きだ。
…楽しいことを意外に持っているじゃん、私。なに世間様に合わせて不幸側に立ってるんだ。
読んでいると志津子が愛される雰囲気が何となく理解できる。志津子の相手に対する態度には嫉妬や優越感、自分を大きく見せようとするナルシズムが全くない。裏も表もない。ただただ素直。だからこんなに人に囲まれるのだと思う。
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