吉川トリコの『しゃぼん』を読了。
読む前にネットでちゃちゃっと調べたら『R‐18文学賞』で大賞を受賞している作品と出てきてちょっとギョッとしたが、私が想像するR-18ではなかったので良かった。
私は青年誌~成人誌の間っぽいものを予想していたのだけど、実際はちょっと攻めた少女漫画にも届かないぐらいの性表現。というか、この程度の表現なら他の作品にもいくらでも出てくるので、【R-18】と聞いて構える必要はなかったなというところ。
では、以下感想を。
おとぎ話でハッピーエンドになったお姫さまと王子さまは、やがてお后様と王様になる。王様はふたりの間にうまれたお姫様に夢中。お后さまはお姫様を恨みます。娘の美しさ、若さ、まっすぐな瞳、純真な心。お后さまはりんごを作ります。真っ赤な毒りんごを。お后さまは魔女になってしまったのです。(P102)
世間から見て良しとされる状態ではないけれど、二人は仲睦まじくケラケラやっているのに、どうして変わらないといけないんだろう、と思う。
年齢を重ねていくと外では『女の子』で居られなくなっていくけれど、プライベートな空間ではどれだけ女の子らしく居たって良いはずだ。
花はニートだし、大人にならなくても支えてくる彼氏が居るし、24時間365日ずっと女の子で居られるじゃん!と思ってしまった。
何で花に共感出来ないんだろうと読み直してみたんだけど、花が女の子でいたいと言っているのが”肉体的”に、だからかもしれない。
肉体的にずっと『女の子』なんてそりゃ無理だよ。
太り方だって変わるし、そのうち髪も肌も老けていく。不老を望むなんて、それこそラプンツェルに登場する魔女みたいだ。
女性の多くはちょっとでもお姉さんで居られるように努力している。
お風呂にも入らない、恥じらいもない、でっぷり太る、服は適当…何一つ女の子でいられる努力をしていない花が『女の子でいたい』と主張していることに、モヤッとする。
「乙女は心意気でしょ」
心意気よ、心意気、心意気次第で女の子はいつまでだって女の子でいられるのよ。(P112)
姉との会話のどこでこう思ったのかは分からないけれど、花は『心意気次第でいつまでも女の子でいられる』と気持ち新たに立ち上がっていく。
花ちゃん30歳よ?何を今さら。
美人じゃないからって全部嫌になってやめちゃったら、平凡を通り越してヘドロだわ。女の子じゃないからって全部やめちゃったら、悪い意味で年齢不詳、性別不詳だわ。
ルックスに対する努力のモチベーションなんて「女の子だから可愛い服を着たい」とか「女の子だから可愛いって思われたい」とか「女の子として大事にされたい」とかそんなもんで、『おばさんだから』『ブスだから』って思った瞬間やる気すら起きないなんて、私ずっと前から知ってましたけど?
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