【幸せの値段】(著:梅田みか)

【幸せの値段】(著:梅田みか)を読了。

 

生きる上で避けては通れないのが“お金”である。どこかの国では若年層の失業者であっても陽気に楽しく生きているらしい記事を読んだことがあるけれども、日本でそう生きられる人間は多くない。一説によると日本人はネガティブな遺伝子が多いから、らしいが政治(社会保障制度)への信頼だったり世間体を気にするお国柄だったりそんなことも理由なんじゃないかと思ったりする。

 

自給自足もしておらず、物々交換、「これ使いこなせなかったのでいりません?」「良いの?じゃあ我が家のコレ要らない?」なんて生活をしていない私は何をするにも、何を手に入れるにも、お金が必要だ。生きるとはお金を消費することとニアリーイコールなのである。

 

どうせあの世に金は持っていけないのだから、毎日贅沢な飯でも食って、使い切ってしまえばいい。でも、これから老いて死ぬまでにいったいいくらかかるのか、それがわからないから好きなようには使えない。死神でもなんでもいい、誰か、俺は何歳で死ぬのか教えてほしい。それさえわかれば、ビクビクしないで金が使えるのに。(P112)

 

私はこの一節には首がもげるほど同意するのだけどそんな人間は私だけではないはずだ。

母親がこれと同じことを言う。お金は持っていけないから全部使っちゃえば良い、と。そんな時に私は「お金を残してくれなくても良いけど、足りなくて困るのはやめてね」と返すのだ。

 

お金というのは、パワーに置き換えられるという。

だから、パワーを貯めておくと安心な人もいるし、パワーは使わなければ意味がないという人もいる。パワーで何でも解決しようとする人もいるし、パワーで人を思いどおりに動かそうとする人もいる。パワーを持つとすぐに無駄遣いしてしまう人もいるし、自分のパワーに振りまわされてしまう人もいる。(P146)

 

お金をパワーに例えているのを初めて見たのだけど、割としっくりきた。特に『自分のパワーに振りまわされてしまう人もいる』という部分が。

 

タイトルが【幸せの値段】なので、いくらあれば幸せが買えるのか考えてしまう。お金なんて無くても幸せになれるとは全く思わないけれども、お金があれば、好きなように使えれば、必ず幸せになれるかと言われるとそんなわけでもない。私が好きな話は1番最後に収録されていた短編なのだけど、タイトルのアンサーもそこに見付けた気がする。

 

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