【ハル、ハル、ハル】クセがスゴイ

 

【ハル、ハル、ハル】(著:古川日出夫)を読了。タイトルにつけた「クセがスゴイ」は、お笑い芸人の千鳥の発音で読んでもらえたら幸い。

 

本書とは関係ないのだけど、GW前から本のストックが無くなってしまっていて。どこに行っても混む連休に買いに行きたくないしとゴロゴロしていたら、本に触れず2週間が経っていました。

本を読むのにはコツがある、なんて言ったりしますから、その間に本を読むコツを忘れてしまったんだろうかと思ってしまうくらい、よく分からなかったです。確かに全てを読んだのに、「こんなことが言いたかったんだろうか」という見当がちっとも付かなくて。

 

ネット上に転がっている感想をカンニングしてしまいました。その中で『小説の皮を被った詩』という感想があって、あぁ、確かに、詩を読んだ時にこんな気持ちになったことはあるかもしれない、と思いました。

詩って心の吐露だから「何言っての?」って、言葉がぐちゃぐちゃで整ってなくても許されていたりするんですよね。【ハル、ハル、ハル】も確かにそんな感じ。作者かキャラクターかは分からないですけど、彼らに共通する感覚を持っている人には理解できて、ハマる作品なのかもしれません。

 

だけど、”詩”みたいなものが読みたければ”詩”を読みます。小説が読みたくて本を手に取っているのだから、個人的にはやっぱり消化不良です。

ハッキリとした境界線は見えなくても、詩には詩の、小説には小説の、作品をそう区別させる何かがあるんだなあと思いました。言いたい事がさっぱり分かんなかったので自信はないですけど、この作品は小説に限りなく近い詩だったりします?

 

あと、「ここ大事ですよ!」って太字で強調する手法も好きじゃないです。

似たようなところで言うと、村上春樹の【風の歌を聴け】という小説で「こんな服です」と絵がバーンと描かれていたのも、筒井康隆の【エディプスの恋人】で出てきた特殊な書き方も、個人的には好きじゃありませんでした。


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なんだか絵本を読んでいる気分になります。

こういうものをどう文章で表現するんだろうというところも作家の筆癖が現れる小説の面白さだと思っているんですけど、自由な形を受け入れられない私の頭が固すぎるんですかね。

 

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