読み進めながら何度も作者名を確認した。これは、本当に平安寿子が書いた本なのだろうか。
『言い訳だらけの人生』の主人公は3人の中年男性である。事件が起きるでもない、感情が爆発するでもない、街ですれ違っても何も違和感を持つこともないだろう男たちがモデルだ。本当に平安寿子が書いた本なのだろうか。(2回目)
作中でかなりガンダムに関しての言及があるのだけど、私はアムロやシャアという名前ぐらいしか知らないので、是非ともガンダム好きの感想を求ム。ガンダムが堪らなく好きだという気持ちはかなり伝わってきた。
★★★★
3人は集まった途端に、よく遊んでいた頃にタイムスリップしたかのようにどうでも良い話で自然と会話が弾むのだけど、これは男性特有だなあと思う。
私が数年ぶりに急に中学や高校の友人と集まることになったらまずリサーチから入る。アラサーだから結婚の話はまずいか?仕事の話も微妙だなあ?どこ住んでるとかなら大丈夫か?と誰かの地雷を踏んでしまわないように細心の注意を払う。
誰かの言葉で「この世には、男と女と女の子がいる」というのがあるそうだ。
男は子供だ。同時に成熟した大人でもある。両方で「男」なのだ。(P38~39中略あり)
「男はずっと子供だ」は聞いたことがあるけど、「女性が成長しているんだ」って考え方も出来るのかと目から鱗だった。
女性が男性のようにグワッと過去にタイムスリップできないのは、女の子から女という似て非なるものになってしまうからなのだろうか。
★★★★
作中で『ガンダム』が語られるので、少しアニメや漫画に寄せた話をしたい。
男の子の憧れは今も昔もヒーローだと思う。ウルトラマンや仮面ライダーは定番だ。実は大人の男だって密かにヒーローにずっと憧れているんじゃないかと睨んでいる。
一方で女の子だってカッコいい誰かを守れる人物に憧れているんじゃないだろうか。
だって幼い女の子が好きな『セーラームーン』や『プリキュア』や『カードキャプターさくら』はヒーローみたいな女の子なのだ。
結婚して子供が生まれて「子供にとってヒーローみたいなパパになりたい」というのは聞いたことがある。だけど「ヒーローみたいなママになりたいんだ」とは聞いたことがない。こういう幼い頃からの憧れの変化具合も『男と女と女の子』なのかなと思う。
そうは言っても、社会が求めているのは大人の男。
内面がどれだけキッズだろうが、大人の男の皮を被って大抵の男は日々を過ごしている。
高校三年生の息子がいる修司はこんな風に考える。
イヤな仕事ではない。ある程度経験を積めば、仕事への愛着も湧く。だから、続けてこれたし、このまま定年まで勤めあげるのが当面の目標でもある。
一生懸命、働いた。その自負はある。なんなら、誇りに思ってもいい。だが、それは義務を果たしているだけだ。
(中略)
当たって砕けろ。涼太に言ってやりたい。
現実的であることが、挫折しないことが、勝ち残る方法だと息子に教えたくない。きれい事だと鼻で嗤われても、小賢しくあるより、ずっといいと励ましてやりたい。
親としての大人の意見と男としての意見がぐちゃぐちゃと混ざる。
主人公の3人ともなんだかんだ納得のいく生き方を出来ているのに、ダメなことばかりに目を向けていて鬱々しいなあと思ってしまった。
いや、もしかするとその鬱々しさはガンダムを語るシーンで解消されていたのかもしれないけれど、ガンダムパートは全然頭に入ってこなかった。ガンダム、観てみると理解度が変わるだろうか。
価格:814円 |