『ダメな男は可愛い』
これは恋愛における名言だ。
婚活がグッと身近になった昨今、条件でパートナーを求めてしまうことも少なくない。傷(マイナス面)のない人が好まれるように思える。というより婚活市場では実際にそうなのであろう。
しかしながら、現実は違う。
目をつぶって壁を撫でてみる。何の引っ掛かりもないツルツルした壁を触ったってこれっぽっちも楽しくない。ピンを刺した跡があったり、壁紙がハゲていたりする壁の方が「ん?」と心が惹かれたりするものなのだ。
カッコいい松潤が好き?カッコ悪い松潤が好き?
画像:https://ameblo.jp/kina0928/entry-11459454578.html
『嵐にしやがれ』の番組スタッフさん談だったと思うんだけど、「カッコイイ松潤よりダメな松潤の方が好きなんです。それでこの企画を作りました」みたいなことを仰ってて、あぁ分かると私は赤ベコのごとく首を縦に振ったのだ。
松潤がダメ男だと思ったことはないけれど、失敗して照れ笑いしているのを見ていると、お茶の間ファンレベルの私でも、胸がくすぐられるような気持ちになる。大人の男性に言う言葉じゃないが、可愛い。
そして『ダメ』が『可愛い』になるのは男性だけの特権ではない。
「デート楽しみで寝坊しちゃった…」「瓶のフタが開けられなくて…」
などなど、モテ仕草から見えてくる女性像はちゃんとした女じゃない。ダメな女もまた可愛いのだ。
しかしながら「寝坊は絶対に許せん」と思う人もいる。
このダメさはOKなんてボーダーはなく、人それぞれにハマってしまうダメっぷりがあるのだと思う。
★★★★
さすがに結婚離婚を繰り返すカップルは身近にはいないが、破局・元サヤを繰り返すカップルはいる。
今までは「嫌になって別れたんだから元に戻ってもバッドエンドにしかならなくない?」「離れてみて分かるっていうのは思い出の美化じゃない?」と口には出さないが思っていた。
しかし『愛の保存法』を読んで、もしかすると「離れたのに戻ってくるなんて、可愛いやつだなあ」とこのあたりのお互いを捨てきれない『ダメさ』に愛おしさを見出してしまったのかもしれないな、元サヤに戻る度に不足していた愛情がドバドバと補給されているのかもしれないな、と思うようになった。
くっついたり離れたりで済めば良いが、先日のアンビリバボーでホステスの女は完全にダメ男に絆されて犯罪の手助けをしていた。
ホステスの言葉「あの人が生きていて本当に良かった」、に純愛とわずかな狂気を感じる。
「私がいなければ…」そう思わせてくれるちょっとダメな人に、人はきっと弱い。母性本能が高い女性は特に。
平安寿子の『愛の保存法』は全6編の短編集。
ダメ男のバリエーションを6つ疑似体験することが出来る。
『ダメ男が可愛い』のは紛れもない事実だ。なので、ずぶずぶとハマった男がせめて善良なダメ男であってくれと願うばかりである。
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