【老後の資金がありません】だけど貯金のためだけに働きたくもない

 

6月のある日、『老後資金は2000万円必要』という衝撃的なフレーズが世間を震撼させた。それに対して金融担当大臣がはっきりとした否定も肯定もしなかったことで、2000万円という金額があながち遠い金額ではないのだと、私はもっと震えた。

 

きっと誰もがこの本のタイトルの様に思ったことだろう。

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2000万円?正直、金額が大きくてピンときません。

 

『老後の資金がありません』このタイトルを見た時に、私は先日の『老後資金2000万円』問題が真っ先に思い浮かんだ。

 

妻の篤子はしっかり者で、老後資金もしっかり蓄えていた。老後は安泰。…のはずだった!

自分たちの老後のために貯めたお金だったはずなのに、娘の派手婚に、舅の葬式、みるみると減っていく貯金残高。そんな時に夫婦そろって失職しちゃうし。老後まで時間がないのに、入ってくるお金もない。

 

どうすれば良かったのか。こんな状態から何が出来るのか。

『人のフリ見て、我がフリ直せ』じゃないけれど、篤子を反面教師にして私は生きていこう。

 

2000万円は嘘じゃない、むしろ足りない

老後に必要な金額うんぬんは色んな説があると思うんだけど、昔、古本屋で読んだ『一生お金に困らない「貯金生活」ができる本』という本には当時(H18)老後に必要な金額は940万円と書かれていた。

 

データ古くてごめんなさいね。

940万円を導くデータと計算式のメモが残っていたので紹介する。

 

【夫婦ふたりの家庭、夫が60歳で定年退職、夫婦ふたりともが80歳まで生きる】場合

 

高齢夫婦ふたり暮らしの平均支出額⇒年間347万(※)

平均的な夫婦(夫がサラリーマンで妻が専業主婦)の年金額は年間約300万円

 

(347-300)万円×20年間=940万円

(※)H18総務省のデータより 

 

今は老後は20年ではなく30年で計算すべきだろうし、消費税も上がったので支出額の増加も考慮すると、2000万円という金額が遠くない事実に辿り着いてしまう。

 

それどころか、数年後には年金支給額がグンと減る可能性もあるし、今ほど老人の医療控除が優遇されていない可能性だってある。私の老年期は2000万じゃ足りないのでは…?

 

ひとまわり前は940万円で良かったのに。それでも安い金額とは言えないけど、倍かあ。はあ…。

 

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★★★★

もしも新入社員時代に『老後資金2000万円必要』を知っていたら。

生涯独身だと仮定すると定年まで約40年働くはずなので、年間50万円の貯蓄で良いのである。

 

早めに、地道に、貯金をし続けること、その大事さに気付かされる。

まさにアリとキリギリスのアリだ。

 

しかしながら、結婚や子供を考えると、年間50万円の純粋な老後の貯蓄とは別に、マイホーム代や教育費を貯めなきゃいけないので、想像するとなかなか大変だなあとやはり感じてしまう。

 

篤子は何故、老後の資金がなくなってしまったのか。

それは弱さを他人に見せたくないというプライドの高さのせいだ。

 

娘が派手婚をするとなった時、「お母さんはそんなにお金払えないよ」と一言いえていたら。

葬式の取り決めで恥を忍んで「削っても大丈夫なところはどれですか」と聞けていれば。

 

こんなイベント事だけじゃない。

篤子は義実家に義理の妹と同額の仕送りをしていたのだけど、もっと早く「うちにこの金額は厳しいから、別の形で支援をさせてもらえないか」と言えていたら。

 

「お金がないのが惨めだ、恥ずかしい」という気持ちは差はあれど誰もが持っているものだと思う。だけどその気持ちが自身をさらに貧乏に向かわせてしまうこともあるのだ、とこの本から学んだ。

 

老後の一万円は大きい。現役時代の一万円とはまったく違う。

(中略)将来自分が貧乏な老女になったら?そのとき一万円あれば、スーパーで安売りの食パンがいったい何斤買える?玉子が何パック買える?(P112)

 

特にこのセリフにドキッとした。本当にその通りだ。

今は日雇いのバイトを休日に1~2日すれば、月収を割と簡単に1万円増やすことが出来るけれど、老後は出来ない。そんな老年期の1万円の差はかなりでかい。

パンや玉子で換算されると1万円の価値がズシリと重くなったように感じた。

 

終わりはハッピーエンドになっていたけど、振り返ると不安面ばかり記憶に残ってしまっている。

だからと言って貯金のためだけに働きたくない。それって何のために生きているの?と思ってしまうのは私が好きな仕事に就いていないからだろうか。楽しいことにもお金を使いたい。むしろ幸せになるためにお金を使いたいのに。

 

今一度、将来設計について考えてみよう。貯金とご褒美の良い塩梅を見付けよう。

 

大事な友人の再出発に見栄からではなく、気持ちで精一杯のお金を包んだ篤子は、自分なりに納得できるお金の使い方を見付けられたんだろうなあ。

 

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