【千の扉】(著:柴崎友香)

 

【千の扉】(著:柴崎友香)を読了。

 

夫の祖父が入院・療養の間だけ祖父が住んでいた団地に住むことになった千歳は、祖父に『団地に住んでいるはずの高橋さんを探して欲しい』と頼まれる。高橋さんを探しながら、昔からそこに住んでいる人と出会い、日本の過去を振り返ったりする物語。

 

…なのだけど、視点と時代がコロコロ変わって読みにくいなあという感想しか抱かなかったので、私が持っている団地の話をする。

 

小学生のころ近所に大きな団地ができて、その年は転入生が何人もいた。団地(公営住宅)にどういう人が入居できるのかを知ったのは大人になってから。小学校の頃なんかはアパートとマンションの違いも分からなかったんだけど、新しいからかお邪魔させてもらった友人宅はめちゃくちゃキレイで今風だったことを覚えている。当時アパートに住んでた我が家よりも全然良い住居だった。外観もグレーのコンクリートなアレな感じじゃなくて、なんかクリーム色でオシャレだったんですよ。

 

母親の友人が息子夫婦にずっと金銭的援助をしているんだけど、「団地とか収入で家賃が変わるんですよね、しかも人気で抽選するみたいですよ」って言ったら「孫に貧乏くさい生活はさせたくない、団地は嫌だ」って言われちゃって。あぁ、持っているイメージが全然違うんだなあって思った。

 

団地が嫌なのは良いんだけど、色んな条件を譲ることが出来なくてその息子夫婦は相場の2倍近くする家に住んでいるんですよ。家賃を聞いてビックリした。しかもそれを母の友人が支払っている。母と同年代ってことは家賃金額を援助できる期間もそう長くないんだから、本人たちの収入で出来る生活レベルを早めに教えてあげた方が良いんじゃないのかなあと思うんだけど、まあ他所のお家に口出すもんじゃないですもんね。大きなお世話ですわね。

 

職場にも団地に住んでいるシングルマザーさんが居るのだけど「貯金も出来るようになったし、娘にもお金をかけてあげられるようになったし、抽選に当たって本当に良かった」って言っているのを聞くと、どうしたって比べてしまうけどね。その方は1回目の募集は外れちゃったって言ってたっけな。

 

千の扉 (中公文庫 し54-1) [ 柴崎 友香 ]

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