『旅のラゴス』を読み終えた時、あなたが思い浮かべる曲はどっち?

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いろんな読書家さんが絶賛している『旅のラゴス』。読もう、読もうと思っていてやっと読めました。

 

題名の通りラゴスという男が生涯をかけて旅をする、というお話です。

私には『旅人』ってちょっと異質な存在に思えました。

 

だってもし旅の途中で自分にピッタリな国を見付けたら「永住しちゃおっかな」って思いません?「よし、次に行こう」って思えます?

 

私には人間っぽくなく見えるラゴス

『旅のラゴス』は、人々が高度な文明を失った代償として超能力を獲得しだしたという「世界」です。

 

行く先々で文明を開化させていくラゴスは、その地で『神』や『天才』と謳われ、当然良い扱いを受ける。

この場にとどまれば『将来』安定した生活ができるにも関わらず、『今現在』持っているこの疑問・欲求に対して動くことがラゴスにとっては当然のことのようであった。そうして彼はまた旅へ出発する。

 

旅の途中で奴隷になったりもする。

奴隷にされた時でさえ「逃げ出す」なんて気持ちはなく、「こんなことならあの国に居れば良かった」と悔やむこともなく、その環境でいかに効率的に過ごすかを考えるラゴスはちょっと人間臭くないなと感じる。

 

なんと言うか彼には『将来の欲』みたいなものが感じられない。

全てを捨てて、はい次!って何のためらいもなくできてしまうラゴスが私には無機質に見えた。

 

ラゴスの唯一人間らしい部分

そんなラゴスの唯一(?)人間らしいと感じる部分は、彼の心の中にずっとデーデが居続けたことではないだろうか。

 

旅をはじめたばかりの村で出会ったデーデをラゴスは愛していた。彼女もきっと同じ気持ちだった。続く旅の中で時折村へ置いてきたデーデのことを彼は思い出す。人間臭くない彼の少ない人間臭い部分だと、私は思っている。

 

何十年という旅を終え、故郷に帰ってきたラゴス。しかしラゴスはまた旅に出る。それは「デーデ」に会うためだ。

目的を持ったこの旅は、きっとラゴスの最期の旅になるのだろう。

 

ポルノグラフィティ派?チューリップ派?

「旅のラゴス」の感想を読み漁っていたら、ポルノグラフィティの「アゲハ蝶」って曲っぽいって意見がありました。

旅人に尋ねてみた どこまで行くのかと いつになれば終えるのかと
旅人は答えた 終わりなどはないさ 終わらせることはできるけど

この部分が旅を続けるラゴスと被るのだそうです。

 

私は『旅のラゴス』を読み終えた時にチューリップの『青春の影』を思い浮かべました。

 

 

自分の大きな夢を追うことが今までのぼくの仕事だったけど

君を幸せにするそれこそが、これからのぼくの生きるしるし

 

君の家へつづくあの道を今足もとにたしかめて

今日から君はただの女 今日からぼくはただの男

 

この2つの歌詞がすごくラゴスっぽいな、と。

あなたは「旅のラゴス」を読み終えてどっちっぽいと感じましたか?

 

多くの人が感想を残している作品なので自分の意見と比べる、そんな楽しみ方もできるのでたった1冊でずいぶんと楽しんだ気がします。

 

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