近年はペットショップで飼うよりも保護施設の子を引き取るという選択をする人が増えてきているような気がします。そういう有名人が増えてきた結果、一般人にも保護施設という選択肢が思い浮かびやすくなったのでしょうか。
「風に舞いあがるビニールシート」という短編集の1つに里親探しのボランティアをしている女性の話が出てきます。
価格:648円 |
彼女が保護した犬は病気のため治療費もかかるし、病気に合わせたエサのためにエサ代も高くつくのです。飼い主を募集しているといっても、引き渡しが終わるまでの費用は彼女が負担しなければいけません。
そこで彼女は水商売でお金を工面するのです。
この女性は「犬のためだし後ろめたさはない」といったような心理描写があったと記憶していますが、実際ペットそれも飼い犬ではなく一時預かりの犬のために夜の仕事に飛び込める女性はどれほどいるでしょうか。
作品はハッピーエンドなのですが、ペットを飼うなら「何かがあったときは泥臭く生きる覚悟を持っとかなければ」と思わされた作品でした。
命の保護はお金がかかる
ペットショップに対して「命に値段を付けるなんて…」という意見があります。
私も成長するにつれて値段が下げられていくのはとても悲しく感じます。
命の保護はお金がかかります。
ですが「金銭で命のやり取り」を不謹慎だと考える日本では、譲渡の際もそれほど大きなお金は取られませんよね。
「(殺処分0というような)数字を追いかける状態」も重なって、保護施設では人手もお金も足りているとは言えない状態になっているそうです。
寄付や譲渡料ではお金が足りない。となると愛護団体 自身も稼ぐ、ビジネスというカタチがやはり必要になってくるのではないでしょうか。
愛護団体はお金には関与せずクリーンであって欲しい…というモヤっとする思いはわからなくもありませんが。
譲渡にビジネス的発想で成功した愛護団体がある
日本の愛護団体ではなくアメリカの愛護団体(「オレゴン・ヒューメイン・ソサイエティ」)です。
あえて、動物たちにそれぞれ価格を付けたことで、飼い主がスムーズに見つかるようになりました。
重視するのは、顧客である新たな飼い主のニーズを読み取り、保護犬・猫が施設に長くとどまらないようにすることだ。
新たな飼い主から受け取る料金は、犬猫の品種や年齢などを考慮して算出する。
長くとどまった場合は人気の子犬・子猫の横に置いて目に付きやすくしている。
読売新聞2018年11月29日/朝刊
譲渡にビジネスを組み込むことで、新しい飼い主が難しかった子たちにもチャンスが増える。
幼くて可愛い子はすぐに新しい飼い主が見つかるのです。対策を練るべきはそうじゃない子達の方です。
日本でも飼い主が決まらない子は年をとっている子だったり、病気がある子だったりします。でもこれって普通のことで、8割の人はペットを飼うなら子供からが良いし健康な子が良い。愛情がわいてから病気になるのとはワケが違う。…と私は思います。
稼げたお金で、ボランティアが専門職員から訓練や世話のトーレーニングを受ける。
そうすることで、保護犬・猫が新たな飼い主との生活がスムーズにスタートできるようになる。
「お金で命をやり取りする」ことは批判されがちではありますが、これだけのメリットがあります。
行き過ぎた道徳心が日本の愛護活動を貧困させている面もあるのかもしれません。
寄付も道徳心からだろうし、「命に値段を~~」っていうのもまた道徳心。0でもなく100でもない、グレーの判断が求められているのかも。
だけど日経ビジネスの記事によると日本人ってグレーの判断が苦手な民族なんですって。