どうも、はち(8)です。
時間がない時は短編の方が手軽で良いですね~。
長編を読んでて良いところで時間切れ…。
「今から!今からがおもしろいのに…!!!」
こんな思いをしなくて良いように、時間がない時(でも本を読みたい時)には短編をチョイスします。
恩田陸『朝日のようにさわやかに』を読んだ感想を述べていきまーす。
あらすじ
葬式帰りの中年男女四人が、居酒屋で何やら話し込んでいる。
彼らは高校時代、文芸部のメンバーだった。同じ文芸部員が亡くなり、四人宛てに彼の小説原稿が遺されたからだ。しかしなぜ……(「楽園を追われて」)。
ある共通のイメージが連鎖して、意識の底に眠る謎めいた記憶を呼び覚ます奇妙な味わいの代表作など全14編。ジャンルを超越した色とりどりの物語世界を堪能できる秀逸な短編集。
【ネタバレ有り】『朝日のようにさわやかに』感想
読み進めていくなかでも薄々感じるし、本作を読み終えて思い返しても、やっぱりそうなんだろうなって思うんだけど…
恩田陸さんはあまり短編小説が得意ではないんだと思う。
どこかで読んだことのある設定、背景だなと感じる小説が多かったです。
まあ14編もあるんで、全てオリジナリティ溢れまくる作品っていうのは難しいのかもしれないけど…
だったら、似た設定で話を煮詰めた長編作品の方が絶対面白いワケで…
短編で誰でも思いつく内容だと、読み終わっても「…でしょうね。」って感情しか生まれないなあ。
恩田陸さんの長編作品をいくつも読んでいるので
私にとっては不完全燃焼に感じてしまう作品だったかな。
そんな作品の中で2編「水晶の朝、翡翠の夜」と「楽園に追われて」の感想をまとめておこうと思う。
「水晶の朝、翡翠の夜」
孤立した学校、ここは優雅な檻。ここではよく生徒がいなくなる。教師は「転校した」と説明するが、本当のところはわからない。
そんな学校で奇妙な事件が起こった。この事件はどうやらある歌の歌詞の通りに犯行が行われていて…。いったい誰が何のために?
私はサスペンスミステリー系の話が好きなので、こういう内容はスルスル読めました。
登場人物たちが「あれ?この事件ってあの歌に沿ってる…?」って気付いてからが楽しいよね。
次はこんなことが起こっちゃう…怖い。でも止めなきゃ…!
みたいなゾクゾクした感じ大好き!
ただね、結末は気に入ってないです。
なんていうか、そもそも特殊な設定なのに、それを読者に理解させる描写が少ないんですよ。知ってて当然よねってスタンスで物語は進みます。
そして「え、そんなこと今まで一言もなかったよね…」って後出しじゃんけんみたいな結末でした。
これはナイわ~。ミステリーは文中の伏線を拾っていくのが醍醐味なのに。
【追記】
調べたら、既存作品の番外編?だったみたいです。
本筋を知ってたらちゃんと納得できるストーリー展開だったのかなあ…?
『楽園を追われて』
文庫本の後ろにあらすじが載せられていた作品なので、推し作品なんでしょうね。
確かに登場人物の設定や心理描写が丁寧だったなという印象。
あらすじを読むと
亡くなってしまった友人が、自分を含めた元同級生4人に小説を遺した。
小説にはボクを死に追いやった人の名が…
なーんてことはありません。
- 彼が小説を遺して死んだこと
- 元同級生4人宛てだったこと
ここからとんでもない恐ろしい真実が明らかになると思うじゃないですか。
彼が小説を遺し、且つ相手を四人に指定したのは…
四人にまた集まってもらいたかったから。それだけ。
「え?」って感じじゃないですか?
小説には事件性も遺言みたいなものもなく、本当に四人を集める役割しか持ってないのです。
なんじゃそりゃあぁ~!
ミステリーでも、サスペンスでも、ホラーでもありません。
いわゆる哀愁とか、ノスタルジーをメインのテーマにした作品なんだと思います。
「学生の時ってこうだったよな…」「あいつこんなバカなことしてたよな…」みたいな。
作品自体はすごい凝っていると思うんです。心理描写も丁寧だったしね。
そう思うんだけど…「ミステリーだよね(ワクワク)」って気持ちになっちゃってたから、純粋に楽しめなかった~。
「今日カレーよ」って言われてたのに、オムライスが出てくる感じ。
オムライスも好きだけど、舌がカレーになっちゃってるから嬉しくない、みたいな。
時間を置いて再読したら何か変わるかなあ。
まとめ
『朝日のようにさわやかに』の感想でした~。
次、恩田陸作品を選ぶときは長編を選ぼう!(笑)
あと「水晶の朝、翡翠の夜」の本編「殺人鬼の放課後」(すごい題名やな…。)も手に取ってみようとは考えていますが、いつになることやら…。
ファンがついてる作品らしいんで、ちょっと楽しみ。