『四畳半神話大系』とは森見登美彦が描く”タラレバ娘”である

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本家タラレバ娘は独身女性たちの心にとんでもないものを置いていきましたね…。

別にタラレバ言って生きてても良いじゃないか…!

 

森見登見彦の『四畳半神話大系』は、主人公が「あぁしてれば、こうだったら」って悔やんでいる選択をもし選んでいたら…?というパラレルワールドが描かれています。

 

「あぁしていたら…」「こうしてれば…」

まさにタラレバ娘ぇぇぇ!!!

(主人公、男性なんで厳密には娘じゃないけど)

 

クスって笑える内容にもなっているから『東京タラレバ娘』で傷付いた女性たちよ。森見登美彦のタラレバ娘『四畳半神話大系』を読んで笑って元気を取り戻しましょう。

 

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あらすじ

「私」は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実は程遠い。

悪友の小津には振り回され、謎の自由人樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。

いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!

さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。

 

  • 第一話 四畳半恋ノ邪魔者
  • 第二話 四畳半自虐的代理代理戦争
  • 第三話 四畳半の甘い生活
  • 最終話 八十日間四畳半一周

 

 望んだ選択を取った「私」は充実した大学生活をおくれているのか…?

 

【ネタバレ有り】『四畳半神話大系』感想

第一章『四畳半恋ノ邪魔者』

「恋も上手くいかない、小津には振り回される、先輩は横暴だし。」

大学生活がうまくいかないのは、このサークルに入ってしまったからだ…!

  

このサークルに所属して、この人たちと出逢ったのがいけないんだ…

別のサークルに所属していれば…

 

と本作の主人公である「私」はめちゃくちゃ悔やんでいます。

 

そして第2章では念願の別のサークルに所属している「私」…!が描かれています。

「私」が一年生から別サークルを選んでいたら…そんなパラレルワールドが描かれます。

 

★タラレバを叶えた「私」

第一章「四畳半恋ノ邪魔者」とは無事別のサークルに入って大学三年生になった第二章の「私」。

 

さぞかし、念願の薔薇色キャンパスライフを…!

 

「私の恋がうまくいかないのは、小津の存在とこのサークルに入ったからだ…」

 

・・・あれ?

というか小津と関係切れてないんだけど(笑)

 

そしてそして第三章『四畳半の甘い生活』でまたまた別のサークルに所属した「私」が。さあ、今度こそ薔薇色のキャンパスライフが…!

 

「私の恋がうまくいかないのは、小津と…(以下略)」

…おーい(笑)

そして、小津とはまた縁が切れず。

 

各章に出てくる他のキャラクターとは所属サークルが変わると関係性がちゃんと変わっているんです

  • 直属の後輩→友人の後輩
  • サークル仲間→敵対サークルの一員

 

でも小津だけはずっと友人だし、所属するサークルにかならず居る。何者!?

 

そして、なんやかんやどの章でも好きな子と恋仲にたどり着く「私」。

「私」が巻き込まれる事象がブットビすぎて、もう笑っちゃう。

でもそのおかげで両想いだもんね、小津に感謝しなきゃ。

 

★最終章『八十日間四畳半一周』

「私の恋がうまくいかないのは、小津と…(以下略)」

もうどのサークルに所属しても小津とはニコイチだよ~

って読み手は思うんだけど、あれ?なんか様子がおかしいゾ?

 

どうやら「私」、四畳半の自室に閉じ込められちゃったみたい~~!

窓を開けても扉を開けても、そこにはまた四畳半の部屋が!

窓を開けても部屋!扉を開けても部屋!!!壁を壊しても部屋!!!

 

ガムシャラに部屋を進んでいくなかで、「私」は部屋と部屋には、かすかな違いがあることに気が付く。

 

  • 人形があったり
  • ビデオがあったり
  • たわしがあったり

 

それは第1章から第3章の「私」が使ったアイテムなワケで、第4章の「私」の私物ではないワケだけれど…

 

そこで「私」は「あ、これパラレルワールドなんちゃう?」って悟るのである。

そして同時に「どの選択をしていても大差ないじゃ~ん」って気付くのでした。

 

いくつかの選択肢があって、選んだ選択がいい方向に進まなかった時、おそらくほとんどの人が後悔をすると思う。

 

でも、どれを選んでもそんなに大差がないかもしれないという考えを持っていると、少し楽観的に生きていける気がする。

 

それから「私」はどの選択(サークル)を選んでも、必ずある人物たちと深く関わっていく。それがであったり運命である様に感じられてとても微笑ましかった。

 

結局は言っていることは同じで、東村アキコ(タラレバ娘)の「いい歳してタラレバは卒業しなさい」という厳しめの叱咤激励をもっともっとマイルドにすると、森見登美彦の「どんな選択でも大きな違いはない。結局は頑張り次第だよ」というメッセージになる!…はず。

 

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