【ひとり日和】(著:青山七恵)

 

『ひとり日和』(著:青山七恵)を読了。

 

20歳の知寿(女)は71歳の吟子さんの家に居候することになる。そんな生活の中でアルバイトをしたり、恋をしたり、失恋したり。時には吟子さんの恋にあてられて、日々を過ごしていく。

 

年配者と人生に悩む若者の共同生活って割と使われている組み合わせだなあと思う。まあ確かに同居相手が同世代だと焦りや自己嫌悪にまみれて、成長を感じるような物語にはならなさそうだけれど。むしろサスペンスが始まってしまいそうな気すらする。

 

年配者と人生に行き詰まった若者の共同生活というと『元アイドルがおじさんと同居していたエッセイ』を思い出す。こちらはノンフィクションだ。

 

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本は読んだことがなくて、WEBコラムでしか内容に触れていないのだけど、ノンフィクションのおじさんと吟子さんはまたちょっと違う感じ。こういう若者との共同生活に出てくる年配者ってどこか達観していて穏やかで、って感じなんだけど、吟子さんに若者を包み込む雰囲気が無いのが少し印象的だった。

 

知寿の方にも触れておくと、年齢は圧倒的に知寿の方が近いのだけど共感できるかと言われるとそんなこともなくて。ただ基本的なスタンスが低飛行っていうのは私に似ているな、と思った。

「お年寄りはみんなそう思っているのかな。若いころって、ほんとにいいのかな。いちいちくよくよして悲観的で、疲れるよ。そういうの、もうめんどくさいんだ」(P132)

 

これもどっかの感想で述べたことあると思うんだけど、年上の人からの「若いんだから頑張らないとね」というニュアンスのアドバイスが私には脅しにしか聞こえないんですよね。

 

頑張らないと後悔するよ、頑張らないと将来苦労するよ、って言われているみたいで。現状でもヘロヘロなのにそこにプラスαなんて余裕ないですけどって思っちゃうし。努力をしても実らなければ「方向性が間違っていたんじゃない?」と切り捨てられてしまう現代。

自分を救ってくれるのは歯を食いしばるような努力よりも、時代や空気が変わった時にゆるりと自分も方向転換できる順応力なんじゃないか、と考えてしまうのはあまりにも自分に都合の良い解釈ですかね。

 

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