恩田陸『ドミノ』を読みました。
タイトルの付け方が秀逸すぎる~~!!!
事件がスタートしたらもう、誰も止められない。その様はまさにドミノ!
疾走感たっぷりの痛快コメディーです。
『ドミノ』あらすじ
1億円の契約書を待つ締切直前のオフィス
下剤を盛られた子役
別れを画策する青年実業家
待ち合わせ場所に行き着けない老人
警察のOBたち
それに…。真夏の東京駅、28人の登場人物はそれぞれに、何かが起きるのを待っていた。迫りくるタイムリミット、もつれあう人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが倒れてゆく!
登場人物がなんと28人!
運命のいたずらか?なんの接点もない28人が、たまたま集まった東京駅。
まるで雪崩のように、事件は登場人物を巻き込み、加速し、ラストまで猛スピードで駆けていく。
【ネタバレ有り】『ドミノ』感想
登場人物がすごく多いですが、キャラが濃いので、「これ誰やった?」とならないです。ご安心を。
その代り登場人物が多い分、場面転換が多いのでキャラクターに感情移入はしないです。というか、する暇がないくらい目まぐるしい(笑)
私はいつの間にか東京駅にたまたま居合わせた第三者になっていました。
★登場人物たちが行動派すぎる(笑)
それぞれ事情があって東京駅へとやってくる登場人物たち。
彼らの手にはこれまた偶然、”どらや”の紙袋が。
ちゃんとどらやのお菓子が入っている紙袋もあれば、カバン替わりに持ち物を入れている人もいたりして…
ぶつかったり、置き忘れたり、と持ち主が代わってゆく紙袋の1つにはなんと時限爆弾が!
紙袋が入れ替わっていることに気が付かない人、気が付いて中身を取り返そうとする人、時限爆弾の持ち主、爆弾に気が付いて動き始める警察OB。
すれ違うその一瞬に紙袋が移動してしまうので、「それ私のなんです…あれ、中身が違う!?」とテンヤワンヤ。
警察は時限爆弾の犯人を追いかけるし、犯人は、時限爆弾の紙袋を追いかける。
紙袋が入れ替わっていることに気付かない人は、勝手気ままにフラフラしちゃうし…。
みんながみんな行動派なもんだから、どんどん関係者が増えてきちゃう。
誰か一人でも「中身が違う。待っていれば本当の持ち主がくるかな」って受け身だったらここまでこじれることはなかったのに!
ばーっと物語が展開していく様が、まさに倒れ始めたら止まらないドミノです。
右からバイクが飛び出せば、左から女が逃げてきて、後ろからはパトカーのサイレンがウーウー鳴っている、という感じでとにかくすごく騒がしい!
読み終えて顔を上げた瞬間に、部屋の静かさにハッとするくらいの、パニックコメディーでした。
まとめ
私が手に取る恩田陸作品ってノスタルジーとか、ちょっと暗い作品が多いので、こういうコメディーも書かれる方なんだなあと引き出しの多さにビックリしました。
内容は全然違うけど、ひたすらに騒がしい感じが映画『エイプリルフールズ』に似ているなと思って読んでいました。
この作品の雰囲気が好きって人は絶対に楽しめます。
『ドミノ』も映像化にばっちりだと思うんで、是非とも動画で見てみたいなあ。
価格:3,365円 |