池井戸潤『民王』を読みました。
政治の話とかって難しくって~~…
って人も大丈夫!
だって私も政治とか難しい話好きじゃないけど読めたから。
池井戸潤さんの作品って映像化がすごく多いんですけど
私たちの「こうであればいいのに」って願望やロマンがお話に込められているからなんだろうな。
『下町ロケット』でも「こんな風に夢を追う会社があればなあ」って思った人は多いはず。
『民王』もこんな政治家だったら、こんな総理大臣だったらって思わずにはいられない内容になっています。
あらすじ
「お前ら、そんな仕事をして恥ずかしいと思わないのか。目を覚ましやがれ!」漢字の読めない政治家、酔っぱらい大臣、揚げ足取りのマスコミ、バカ大学生が入り乱れ、巨大な陰謀をめぐる痛快劇の幕が切って落とされた。
総理の父とドラ息子が見つけた真実のカケラとは?
総理大臣の泰山
その息子の翔、大学生
2人は何者かの陰謀によって入れ替わってしまった…!
元に戻るまでは仕方がなくそれぞれの役目を務めることになるのだが…?
【ネタバレ有り】『民王』感想
泰山の息子・翔は大馬鹿なのである。
父親の代わりに総理大臣を務めることになるのだが、原稿は事情を知った秘書が用意してくれることになった。
でも、それが読めない。
国会で原稿をグダグダに読む総理大臣は「漢字が読めない馬鹿総理」と言われることになる。
しかし政治に関わってこなかった大学生だからこそ損得勘定なしで言えることがある
- 国民のための政治とは何なのか
- 国民は何に不満を抱えているのか
現在の議員が自身の保身に走って政策をコロコロ変えるのを見てきているから、
本来の国会の役割はこのようなものであって欲しいと本を読み進めながら感じた。
泰山の就職活動
一方で、翔になってしまった泰山は絶賛就職活動中である。
いわゆる圧迫面接にカチンと来てしまったり
「父が総理大臣だからコネ入社でどう?」みたいな翔を取り巻く環境に気付いたり。
何より一般大学生として生活することで、政治の至らなさや、自分が思い描く現状とのズレを感じ取っていくことになる。
マスコミの在り方にも言及
マスコミのみなさん言われてますよ~(笑)
泰山(中身・翔)は漢字が読めないことでマスコミから揚げ足取りにあうんです。
そんな時の父のセリフがこちら。
『マスコミはスキャンダルではなく、議員の活動をもっと取り上げるべきだ』
本当にその通りですよね。
行動が悪い政治家ばかり大きく取り上げられるから、真面目な政治家っているの?って思っちゃう。
その真面目な政治家さんはどんな活動をしているの?って。
政治におけるマスメディアの在り方は小説内だけじゃなく、現実だってもっとちゃんと考えないとって思わされました。
泰山の決断。政治家の在り方
個人的に読み応えがあったのは第六章からエピローグでした。
泰山が政治の至らなさを再自覚し、ついに行動を起こすんです。
泰山は民のために法律を改正した後、内閣を解散させます。
そして民意に問う『自分は総理として、国民のために活動できただろうか?』と。
私は政治家とは本来こうあるべきなんじゃないかと思う。
政治を通してやりたいことがあるから政治家になる。または、政治に疑問があるから政治家になって正していきたい。
今の日本でこの考えを持った政治家がいったい何人いるだろう。
発言が喧嘩腰なので割と嫌われているイメージなんですけど…
『大阪都構想』の賛否を問うて、否決になった時に
「僕が政治家になってやりたかったことは『大阪都構想』なので、今回の結果を受けて引退します」
というコメントを出したんです。
政治家の姿として凄い良いなって思った記憶があります。
まとめ
以上、『民王』の感想でした。
もうね、今の政治家の姿がひど過ぎて…本の中の政治家に憧れちゃうよ。
意味のない解散。小池百合子劇場。今回の選挙って何だったんだろうね。