あ!『夜』の文字のところに月がある!気付かなかった!
私が「歩行祭」に実際に参加したワケじゃないのに、すごい達成感です。
気持良い、超気持ち良い…!
静かに静かに物語が進むので、残りページが少なくなるにつれて
「あ~、本が終わる…青春も終わる…」とWで切なくなります。
何か特別なことがあった青春じゃなかったんですけどね
どうして青春時代ってこんなに心に残っているんだろう?
あらすじ
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。
それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。
甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―――――。
学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。
主人公は”高校最後のイベント”になる二人の男女、西脇融と甲田貴子。
周囲からは付き合っているのではないかと噂をされている二人。
だけど同じクラスにいながらも口をきいたこともない。
誰よりも強く相手を意識しながらも避けてきた。そんな二人の因縁が徐々に明らかになっていく。
★【ネタバレ】『夜のピクニック』感想
一度も口を聞いたことがない融と貴子。
それなのに付き合っていると噂がたっている…?
「意識しないでいようとすることが既に意識してしまっている。」なんて言葉を聞いたことないです?
融はまさしくこの状態にあって、一方で貴子はそんな融の意識に入るまいとしている。
そんな二人は周りから見ればわざと意識していないように見せようとしている様に見えているのだ。
(つまりめちゃくちゃ意識しているように見えてる…!)
周りに内緒で付き合ってるカップルがよくやっちゃうやつだ!
実は二人は異母兄妹で、お互いの距離感に悩んでいたんです。
だけど今まで避け合っていた二人は、二人の事情を知らない友人たちの策略により「歩行祭」で言葉をかわすことに。
だって友人たちは両片想いだと思ってるんだもんね。
それにしてもイベントパワーってすごいなあ…。
思っていたことを話し合った二人は、「母親にあってみる…?」なんて今後のことも話したりしちゃって、特別なイベントは学生に勇気を与える力を持っているんだなあ。
でも2人が勇気を出せたのってそれだけじゃないと思っていて。
『歩行祭』なので、まあ歩くだけじゃないですか?
夜も更けてきて、話題も尽きちゃって、みんなパーソナルなことを話すようになるワケですよ。
- もっと恋したらよかったな~
- 素直になっとけば良かったな~
- 進路どうするの?
- こんなことで悩んでて…
普通だったら恥ずかしくて言えない悩みを語り合うんです。
こういう同級生の不安や悩み、将来への希望なんかを耳にして、2人にも思うことがあったんじゃないかな~と個人的には推測します。
★『しまった、タイミング外した』に共感の嵐
融の友人の忍が発したセリフなんですけど、「わかるわ~」って共感しまくり。
忍には教育学に通ずる従兄弟がいて、その年代の彼に相応しい本を選んでくれていたんです。
でも当時の忍がそれを読むことはなく、成長し、たまたま時間があった時に手に取ったら面白くて…。
『当時読めていたら今の自分を作るための何かになっていたはずだ。そう考えると悔しくてたまらない。』
「しまった、タイミング外した」って思ったんだって。
めっちゃ、わかる。
まさに、この「夜のピクニック」だって私が学生時代に読めていたらきっとまた違った今があるんじゃないかなって思う。
2004年の本だから、学生時代に手に取れる可能性はあったワケか…。
でも、読書にハマったの大学生からやしな~…。
物事に触れるベストタイミングって絶対あると思う。
早い場合はまたあとで~で良いけど
遅い場合はどうにもならないから悔しいよね。
『夜のピクニック』にはそんなちょっと哲学っぽい内容もふんだんに散りばめられています。
★まとめ
歩行祭を終える時にはきっと日が昇っているじゃないですか。
その様子が、悩みから一歩前に進めて光を見つけたみたいで、そいうい裏メッセージもあったりするのかなって思いました。
ちなみにこの『歩行祭』、実際に存在する学校行事なんですよ。
作者の恩田陸さんも学生時代に経験されたんですって。
あとバイキングの小峠さんもこの作品が好きで
後輩10人ほど引き連れて50㎞の歩行祭を行ったことがあるそうですよ。
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▽『夜のピクニック』の前日を描いた『ピクニックの準備』収録▽
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